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台湾建築探訪−風格を保つ郵政庁舎

『な〜るほど・ザ・台湾』台北風まかせ 2007年7月掲載

忠孝西路と中華路の交差点には清国統治時代に建てられた北門がある。ここは往時の姿を保つ唯一の城門で、台北市が指定する史跡となっている。


その傍らに立ってみると、重厚感を漂わせた大きな建物が正面に迫っている。これが日本統治時代の台北郵便局、現在の台湾郵政台北郵局である。古めかしさの中にも、整然とした雰囲気をまとった歴史建築である。

 かつて、この一帯は京町と呼ばれていた。ここに郵便局が開設されたのは北白川宮能久親王率いる近衛師団が台北入城を果たした時にまで遡る。当時は野戦郵便局で、木造平屋の簡素なものだったという。しかし、後にこれが大火に見舞われて焼失。新庁舎を造営するきっかけとなった。新庁舎の竣工は諸説あるが、1929年とされている。施工は台湾総督府官房営繕課が請負い、設計は栗山俊一という人物が担当した。三階建ての大きな建物は、落成と同時に内外の注目を集めたという。

 昭和初期は鉄筋コンクリートが普遍化し、シンプルなデザインがもてはやされた時代である。そのため、この建物も西洋古典様式の凝った装飾を随所に残しつつも、全体としては整然とした雰囲気に仕上げられている。言ってみれば、古典建築と現代建築のいずれの要素も含む過渡期のデザインであった。壮麗な風格と機能性を重視した造り。独特な存在感をまとっているのは、そういった背景があるからなのかもしれない。

 正面に設けられた玄関を入ると、まずは高い天井に驚かされる。広々とした空間は開放感に満ち、厳つい外観とはずいぶん異なった印象を与えている。なお、現在、使用されているカウンターは竣工当初からのもので、用材には宜蘭と蘇澳で採掘された大理石が用いられているという。

 現役として活躍する老建築。営業時間内であれば館内の見学は自由なので、気軽に足を運んでみよう。

住所:台北市中正區忠孝西路一段114号(忠孝西路と博愛路の交差点・北門の向かい)
TEL(02)2361-5752
営業時間:
月〜金:07:30-21:00
土曜日:08:30-16:30
日曜日:08:30-12:00 
3級古蹟
館内の見学は自由

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