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ルカイ族の郷を訪ねるー屏東県霧台郷

『な〜るほど・ザ・台湾』観光最新情報 2007年4月号掲載

屏東県の山岳部にある霧台郷。ここに住むルカイ族の人々は
先祖から受け継いだ伝統文化を守り、静かに暮らしている。
小鳥のさえずりが響き渡る山郷の暮らしを訪ねてみた。


ルカイ族の最大集落

 屏東県の霧台郷。 屏東市から車で2時間あまりという山深い土地にルカイ族は暮らしている。ここは現在でも入山許可証が必要な秘境で、行くまでには相当な山道を越えなければならない。それでも最近は行楽ブームを受け、伝統家屋を利用した民宿などもあるという。これまではパイワン族が暮らす三地門が広く知られていたが、ここ数年はこの霧台も注目を集めるようになっている。

 


まずは三地門から出発 

 霧台郷の人口は3000人余り。その約98%がルカイ族で占められているという。全台湾におけるルカイ族の総人口は12000人余りとなっており、霧台辺りに住む西ルカイ族と台東県に住む東ルカイ族、そして高雄県の茂林郷に住む下三社族という3つの集団に分類される。ここ霧台郷はルカイ族にとって最大の居住地域で、ルカイ族独特の文化が色濃く残っている土地でもある。 

 この三地門から曲がりくねった山道を進むこと1時間余り。延々と続く山道に疲れを感じ始める頃、伊拉、そして神山という集落が現れる。いずれもルカイ族が暮らす集落で、ここが霧台郷の入口となる。毎年8月15日前後に行われる霧台郷の合同豊年祭は神山集落で行われる。道路沿いには「神山愛玉」という愛玉ゼリーの店があり、ここで一休みするのもおすすめ。

 

天然の愛玉を用いたゼリーは絶品で、アワ(小米)を入れたという変わり種もある。ここではルカイ語の言葉を記した会話メモを訪問客に配っている。ちなみに「こんにちは」に当たるのは「サーバウ」、「さようなら」は「アーイー」となっている。 


ルカイ族の装飾が施されたユニークな教会

 霧台の集落はここから少し進んだところにある。道路から石段を上り、集落に入ると、小学校の校庭と魯凱文物館の大きな建物が見える。文物館の脇の道を進んでいくと、郵便局があり、その先を右折すると大きな教会が見えてくる。この一帯の教会は、いずれも集落を見おろせる場所を選んで建てられている。

 この教会はルカイ族の伝統文化を取り入れたデザインで、細部にわたって装飾が施されている。先住民の人々が暮らす村には必ず教会があるが、中でもルカイ族の暮らす地域は装飾にこだわっているところが多い。

 先にも紹介した神山集落の教会も一見の価値がある。ここの場合、館内に並べられた椅子がルカイ族の木彫り品だったり、民族衣装に身を包んだマリア像などがあったりする。芸術創作が暮らしの中に息づくルカイ族ならではのものだ。 


スレート造りの伝統家屋が並ぶ集落

 

 霧台集落では山肌に並んだ伝統家屋を見学したい。ここにはルカイ族伝統のスレート造りの家屋が並んでいる。「石板」とも訳されるスレートはこの辺りの特産で、薄く平らな板状の石。これを用いて家屋が造られる。ここの場合、古いものが残っていると言うよりも、伝統的な手法を用いて新造された家屋が多い。いずれも作業場を兼ねた前庭があるのも特徴だ。夏は涼しく、耐久性にも優れていると言われ、居住環境は良好だという。 

 こういったスレート家屋が集まっているのは霧台国民小学(小学校)の上にある「岩板巷」と呼ばれる路地。道ばたには木彫りや石彫刻が飾られている。いずれも彼らが崇める百歩蛇(ひゃっぽだ)という蛇や聖なる花とされる白百合が描かれている。 

 学校の脇の路地を進むと、ルカイ族のおばあさんが経営する軽食屋がある。ここでは「チナブ」と呼ばれるルカイ族のチマキが味わえる。これはアワと餅米の中に豚肉を入れ、香りのよい葉で包んだもの。一本20元。ふっくらと炊けており、何本でも食べられそうな美味しさだ。


宿泊は個性豊かな民宿へ

 せっかくここまで来たのだから、できるだけゆっくりと滞在したいもの。霧台集落には独特なデザインを取り入れた個性的な民宿がいくつかある。中でも「夢想之家」という民宿は人気が高い。スレートをふんだんに用いた建物はオーナー夫妻が自らデザインしたもの。部屋は5部屋だけと少ないが、いずれも明るく清潔だ。ここでは山菜を用いた原住民料理が味わえるほか、集落を案内するミニツアーも催している。ルカイ族の文化や風習を知りたければ、気さくで明るいオーナーが親切に教えてくれるだろう。 

 

 大自然に抱かれたルカイの郷。ちょっぴりディープな旅を体験してみよう。 

●入山許可証について
台湾人が同行する場合は現地(検問)でも手続きが可能。タクシーを利用する方は運転手による手続きもできるが、確実ではないので避けたいところ。手続きは屏東県警察局外事科(屏東県屏東市中正路 119号、08-733-6283)へ。手数料10元でパスポートか居留証が必要。この際には霧台郷の受け入れ先の住所が必要となるが、宿泊先の住所を記入すればOKだ。

● 宿泊先データ
夢想之家 
霧台郷霧台村 5隣 38号 
0912-786-109
ツイン2500元(平日2100元)
四人部屋3200元(平日2800元)
霧台国民小学脇 

※交通機関や宿泊先の情報は「な〜るほど台湾」に掲載時のものです。現在とは異なります。

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