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台湾東部がより便利に! 新型特急「太魯閣」号デビュー!

『な〜るほど・ザ・台湾』観光最新情報 掲載


台鉄(在来線)が放った隠し球

 台灣高鐵の開業劇にもやや落ち着きが見られてきた5月。今度は台湾鉄路局が新型特急をデビューさせた。 TEM1000型と呼ばれるこの車両。これまで本誌でも試運転の様子などをレポートしてきたが、5月8日、ついに正式運用が始まった。

 この車両が導入されるのは、台北から花蓮へ向かう東部幹線。これまで最速を誇っていた自強号よりもさらに俊足ということで、特別に愛称が付けられた。言うまでもなく「太魯閣」号とは、台湾を代表する景勝地、太魯閣峡谷にちなんでいる。この愛称は一般公募で決定され、英語では「 Taroko」と表記。日本人にもタロコ号の名で呼ばれている。車両の側面には「Taroko」のロゴが誇らしげに入っている。

日本から輸入された振り子式電車

 タロコ号の車両は日本製だ。ただし、台湾に陸揚げされてから随所に改造が施されたため、印象は異なる。この車両の何よりもの特色は振り子式電車であることだ。カーブ区間では車体を傾けさせ、スピードを保ったままで走行する。モデルとなったのは JR九州の885系電車で、「白いかもめ」の愛称で長崎本線を疾走している。なお、タロコ号の最高速度は時速150キロ(運転速度は最高130キロ)となっている。

 この車両は東部幹線の輸送力増強を目的に導入された。これまで台湾の大動脈となっていた西部幹線(基隆〜高雄)は、名実ともに台湾鉄路局のドル箱路線だった。これが台灣高鐵の開業で大打撃を受けてしまった。それを受け、東部幹線に力が入れられるようになり、この車両が導入されるに至った。幸い、新型電車はすこぶる好評で、8日の一番列車から連日満席状態が続いている。なかなかチケットが手に入らないと不満の声も聞かれ、まさに鉄路局は嬉しい悲鳴をあげている。 

ぐっと便利になった台湾東部

 タロコ号の運転区間は樹林―台北―花蓮間。これまで台北と花蓮の平均所要時間は2時間48分となっていたが、これが一気に45分も短縮された。最速の列車なら、台北を出た後は松山に停車し、その後は宜蘭にも停車せずに花蓮までノンストップ。所要時間はわずか2時間3分となっている。 

 タロコ号の登場で台湾東部の旅は一変した。花蓮や太魯閣峡谷の日帰り観光が可能になるほか、台北から宜蘭までも所要70分なので、台湾東北部を旅する際にも、スケジュールに余裕が出てくる。温泉で知られる礁渓温泉などはこれから人気が出てくることだろう。 

 花蓮から先、台東方面も注目を浴びるに違いない。現在のところ、タロコ号は花蓮へ向かう乗客を最優先したダイヤで、花蓮から先への接続は良好とはいえない。しかし、増発によって徐々に改善されていくのは確実なので、今後が楽しみだ。 

ちょっぴり贅沢な移動空間

 タロコ号は通常は8両編成での運行される。車両の外観は機能性を重視したものになっており、シンプルなデザインだが、真新しいこともあり、台湾らしい深い緑によく映える。目を引きつけるには十分だ。 

 列車1編成当たりの座席数は380。全座席がリクライニングシートでシート間隔は日本のグリーン車並み。各席に収納可能なテーブルが付いているほか、読書灯も設置されている。また、トイレは全車両に設備があり、和式と洋式が揃っている。 

 現在、タロコ号は平日3往復が設定されている。週末はこれに1往復が増発される。この車両はスピードが自慢なだけでなく、乗り心地も追究されている。それでも運賃は据え置かれ、従来の自強号と同額となっている。この安さも人気の秘訣と言っていいだろう。 


 今後は増発が予定され、将来的には西部幹線への導入も予定されている。花蓮行きに関しては、しばらくの間、満席状態が続きそうなので、必ず事前にチケットを確保しよう。なお、タロコ号は全席指定制で、立席は認められないので注意が必要だ。

 

※交通機関や宿泊先の情報は「な〜るほど台湾」に掲載時のものです。現在とは異なります。

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