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高雄から日帰りで楽しめる島の旅 小琉球

『な〜るほど・ザ・台湾』観光最新情報 2006年9月号掲載

小琉球は台湾近海で唯一の隆起珊瑚礁の島。
1周12キロと小さいものの、
美しさは台湾随一と言われるビーチリゾートの穴場だ。
高雄からならワンデイトリップが楽しめる。

知られざる珊瑚礁の島

 小琉球は高雄から南西約20キロの洋上に浮かぶ島。高雄から日帰りが可能だ。まずは早朝のバスで小琉球のゲートとなる東港へ向かおう。墾丁国家公園へ向かうバスも東港に寄るものが多く、小港国際空港からも乗車できる。本数も多いので便利だ。

 東港は黒マグロの水揚げ港として世界的な知名度を誇っている。残念ながら、この時期はオフシーズンとなっているが、町には海鮮料理屋やお土産物屋が軒を連ねており、マグロの加工品が数多く販売されている。

 バスターミナルからフェリー乗り場まではやや距離があるので、タクシーを利用しよう。料金は100元程度でOKだ。小琉球行きのフェリー乗り場は漁港にも近く、製氷店や安食堂などが並んでいる。朝早めに訪れれば、競り売りのようすを見ることもできる。

 小琉球行きのフェリーには公営と民営があるので注意しよう。安いのは公営フェリーだが、これに乗船すると大福漁港という辺鄙な場所に着いてしまう。ここでフェリーを下りると、かなり不便なので注意したい。料金は若干高めだが民営フェリーを利用して、白沙尾漁港へ向かうのがおすすめだ。

興味が尽きない小琉球の歴史

 小琉球の歴史はオランダ時代にまで遡る。もともとこの島にはシラヤ族の人々が住んでいたと言われ、ラマイという名で呼ばれていたという。オランダ人はこれを受けて、ラムベイ島と呼んだと伝えられるが、その後、漢人住民の移入によって、先住民は追いやられてしまった。漢人住民は先住民を「烏鬼蕃」と呼んでいたが、島のはずれにある烏鬼洞はその住居跡であるという。なお、伝説によると、烏鬼とはオランダ人が連れ込んだインドネシア原住民の奴隷とも言われている。

 なお、最初にここへやってきた漢人は、現在の高雄付近に住んでいた漁民の李月老という人物と言われている。時化の際に立ち寄ったのが始まりだったが、近海に豊富な漁業資源が存在することがわかると、高雄から多くの漁民が移り住んできた。現在も人口1万3000人あまりのうち約70%が漁民であると言われている。

 「琉球」という名前の由来も興味深い。この呼称は古くは台湾本島を示していたと言われ、中国大陸東岸一帯の広範な海上地域の総称でもあった。その後、沖縄が明国と朝貢関係を結ぶようになると、同名の不便さから、琉球は沖縄を示すようになり、台湾島が「小琉球」となった。そして、「台湾」の呼称が使用されるようになると、この小島が「小琉球」を名乗るようになった。つまり、小琉球の名は台湾本島が琉球と呼ばれていた時代の名残とも言えるのだ。

珍しい奇岩怪石がいっぱい

 この島には波浪浸食によってできた奇岩怪石が随所に存在する。最も有名なのは小琉球のシンボルにもなっている花瓶岩だ。これは高さ9メートルの珊瑚石灰岩で、花瓶を逆さまにしたような形をしている。付近は浅瀬なので、磯遊びを楽しむ人たちが集まってくる。この花瓶岩に面して山沿いに立つのが霊山寺。ここは小琉球最大の廟だ。

 現在、小琉球には島の周囲を巡る環島公路と呼ばれる道路が走っている。この沿線には「美人洞」や「烏鬼洞」といった珊瑚石灰岩でできた洞窟がいくつか観光整備されている。

 また、マリンスポーツも見逃せない。透明度の高い海に囲まれた小琉球では、シュノーケリングやダイビングが盛んだ。白沙尾漁港付近には専門業者が集まっている。シュノーケリングは1人350元くらい、ダイビングは1000元くらいから楽しめる。この他、白沙尾漁港からはグラスボートも出ている。船底に取り付けられたガラス板から、色とりどりの熱帯魚が泳ぎ回る様子を眺めてみよう。

 島は半日もあれば十分に回ることができる。しかし、この島の魅力は素朴な漁村風情にある。できればのんびりと滞在し、島に流れるゆるやかな時を肌で感じたい。宿は白沙漁港付近にいくつかある。いずれも手頃な値段で投宿できる。

旅の終わりは華僑市場と東隆宮

 東港へ戻るフェリーの最終便は17時半発。東港に着くころには、辺りは夕闇に包まれている。フェリー乗り場のすぐ隣にある華僑市場が賑わうのはちょうどこのころから。ぎっしりと並んだ屋台には水揚げされたばかりの魚介類や加工品が売られている。

 ここで忘れずに味わってほしいのが「旗魚黒輪」。「黒輪」は台湾語で「オレン」と発音し「おでん」のことを意味するが、ここの黒輪は一般的なものとは異なり、串に通したカジキマグロのつみれを高温の油で揚げたもの。つみれの中にはゆで卵を細く刻んだものが入っており、これが絶妙な味わいを生みだしている。弾力性のある食感も独特で、思わずペロリと食べてしまう。1本10元の格安グルメだ。売り切れてしまうことも多いので、できるだけ早めに屋台を目指そう。○に瑞という文字の入った屋号の店がおすすめだ。

 旅の最後には、東港最大の廟である東隆宮へ寄ってみよう。煌びやかな装飾は圧巻のかぎり。この廟では3年に一度「焼王船」という祭りが行われている。これは数千万円という巨費を費やして造られた「王爺船」を燃やし、祈りを天に届けるというもの。今年はちょうど3年目にあたり、新暦の10月14日と21日に祭典が行われる予定だ。ぜひともこの時期に合わせて、東港・小琉球に足を延ばしてみよう。

 

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