logo
 サイト内検索

検索オプション
 メインメニュー

黒潮に洗われる島々ー澎湖列島の旅

台湾海峡に浮かぶ澎湖列島。手つかずの大自然が残り、密かな人気を誇っている。まだまだ知られていない水上の楽園。魅力がぎっしり詰まった魅惑の島々を巡ってみよう。

「な〜るほど・ザ・台湾」観光最新情報 2007年5月号掲載

 知られざる水上の楽園

 澎湖列島は台湾海峡に浮かぶ大小64の島々。この列島の特色は何と言っても山がないことだ。いずれの島も平坦で、最高地点となる場所でも海抜79メートルほど。そこを海上から吹き付ける強風が通り抜ける。そのため、樹木らしい樹木は育たず、独特な植生が培われた。

 農業も独特なスタイルとなっている。この島で栽培されるのは乾燥に強いスイカやヘチマ、カボチャなど。いずれも澎湖名産に数えられており、特に澎湖産のヘチマは評価が高い。また、サボテンもこの島の名物。強風と乾燥に強く、生命力も強いため、今や島のいたるところで見かける存在となっている。

 台北から馬公までは飛行機で55分。飛行機は台北のほかにも高雄や台中、台南などから出ており、高雄や嘉義(布袋)の港からはフェリーも就航している。 

 澎湖を訪れる日本人旅行者は少なく、あまり紹介もされていないが、台湾が誇る水上の楽園は、意外にも近くて便利な場所にある。

荒海に守られた町

馬公は漁業の町として古くから知られていた町。漁港を中心に大きな賑わいをみせている。ここには清朝時代からの古い町並みが残っていて、散策が楽しめる。

まずは澎湖県の県庁舎を見に行こう。日本統治時代に建てられたこの庁舎は石造りで、重厚な雰囲気を漂わせている。ここからフェリーターミナルまでの間が馬公のメインストリートとなっている。お土産屋なども並び、ちょっとした繁華街になっている。干物や海産加工品、珊瑚細工を扱う店も並んでいる。

 澎湖天后宮は1592年に創建された古刹。現在も澎湖住民の精神的支柱となっている。大きな廟ではないが、精緻な彫刻は息を呑む美しさ。木造のままで残っている廟は全台湾でも珍しく、古蹟として保存されている。参観は早朝6:00から20:00まで。早朝に訪れると朝陽を浴びた美しい姿が見られる。

 なお、この付近には「老街」と呼ばれる古い家並みも残っている。格好の散策エリアとなっており、迷路のように入り組んだ路地が印象的だ。修復はされているものの、思わず数百年前にタイムスリップした気持ちになる。ここは現存する台湾最古の町並みとも言われている。

馬公漁港も忘れずに訪れたい。ここには魚介類を売る店や海鮮料理のレストランなどが集まっている。どこも安さと鮮度が自慢の店ばかり。しかし、どんな店にも得意・不得意のネタがあるので、じっくり時間をかけてお気に入りの店を探そう。どの店も生簀を店先に並べて、活きのいいネタをアピールしている。
 
台北や高雄では、「澎湖直送」の文字があるだけでお客の入りが変わってくるという。澎湖海域はプランクトンを豊富に含んでおり、栄養素となる塩分も他の海域に比べて高い。つまり、回遊する魚の健康状態がすこぶる良好で、これが美味しさに直結しているのだとある漁夫は胸を張っていた。

 ちなみに料理の美味しさはもちろんだが、魚介類の種類が豊富なことにも注目したい。澎湖近海に棲息する魚介類は300種を数えると言われ、日本では見られそうもないカラフルな魚たちや、ごつごつとしたサザエなど、話しのタネになりそうな海産物が目白押しだ。

 なお、澎湖の海産物については、水産加工品も知られている。強い日射しと吹き付ける強風が干物を作るのに向いているのだ。こういった水産加工品を扱う店は多く、馬公市内でも頻繁に目にする。もちろん、空港でも購入できるので、買い忘れてしまった場合も心配はいらない。

周辺の島々を巡る楽しみ

 澎湖近海には小さな島々が点在している。こういった島を巡る日帰りツアーも数多く用意されており、好評だ。中でも澎湖本島の北東海域を周遊するツアーは人気が高い。員貝嶼沖の美しい海を満喫し、魚介類に舌鼓を打つ。島の裏手に位置する玄武岩景観も知られている。これは他地域では見られない地質景観として、生態保護区にも指定されている。

 最後に、澎湖の日射しは強いので、日焼けには誰もが悩まされる。そんな時に大活躍してくれるのがアロエだ。アロエは日焼け止めとして外用されるほか、腫れの抑えやかゆみ止めに効能がある。最近は美白効果に着目し、化粧品なども開発されている。お土産としても売られているので、買い求めてみるのもおもしろい。

 これからの時期、暑さは日に日に厳しくなっていくが、澎湖の場合は風がその暑さを和らげてくれる。まだまだ穴場的な要素が強い澎湖の島々。週末を知られざるアイランドリゾートで過ごしてみるのはいかがだろうか。

 

Copyright © 2000-2011 片倉 佳史 KATAKURA Yoshifumi All Rights Reserved.台湾特捜百貨店