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第6回:劇場に生まれ変わった街市場―西門紅楼(紅楼劇場)

The Daily NNA 【台湾版】 2007.9.14掲載

日本統治時代は市場だった建物を再利用した劇場。一階には喫茶店が入っており、売店では昔懐かしい玩具や郷土資料などを扱っており、こちらをお目当てに訪れるファンも多い。

西門町は台北を代表する繁華街である。当初、一帯は見渡す限りの湿地だったというが、台湾総督府はここを埋め立て、住宅地へと変えた。その後、大正時代には台北随一の繁華街に挙げられていたという。

MRT板南線の西門駅の近くに、赤煉瓦造りの古い建物が残っている。「西門紅楼」と呼ばれる芸術空間で、二階の劇場スペースでは、随時台湾の古典芸能などが演じられている。通いつめる外国人も少なくないという。

この建物の竣工は一九〇八(明治四一)年。当初は公衆衛生を管理するための機関だったが、後に公設市場となった。赤煉瓦と白石を混用したデザインは落成時から注目を集めたという。設計者は台北医院(現国立台湾大学付属医院旧舎)を手がけた近藤十郎であった。

古老の話では、この市場で扱われる物資は豊富で、連日多くの人で賑わっていたという。日用品から生鮮食料品、雑貨各種まで、揃わないものはないとまで言われたほどだった。飲食店や写真屋、喫茶店、そして、台湾みやげを扱う商店まであった。

戦後は映画館となっていたが、半ば廃墟のようだった。転機となったのは陳水扁市長時代の再開発事業で、周囲を埋め尽くしていたバラックは一掃され、建物も修復工事が施された。現在は公共建築として台北市の管理下に入っている。休演時には二階も喫茶スペースとなるので、道行く人々を眺めながら、台北の歴史に思いを馳せてみてはいかがだろうか。

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