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のんびり内湾線の旅 ローカル線で行く客家の郷

『な〜るほど・ザ・台湾』観光最新情報 2006年5月号掲載

台湾北西部の山麓を走る内湾線。台北から気軽に訪問できる
観光スポットとして注目されている。
新竹から内湾までの1時間のミニトリップ。
ローカル線の情緒は、どこか人を癒してくれる。


 内湾線の旅は台湾北西部の中枢・新竹から始まる。ホームの先端部を切り込んだような場所から列車は出発する。ステンレス製のディーゼルカーが大きなエンジン音を立てて、乗客を待っている。

 

 現在、台湾の鉄道には島内を一周する幹線のほか、3本の支線がある。内湾線はそのなかで最も地味な存在だ。新竹から内湾までの所要時間は約50分。9つある駅のうち、駅員がいるのは、竹東、九讃頭、内湾の3駅のみ。残りはすべて短いホームがあるだけの無人駅だ。列車はそんな駅をひとつひとつ丹念に停車しながら、終着・内湾を目指していく。

 

 新竹を出た列車は田園地帯の中をのんびりと走る。竹東は比較的大きな町で、乗降客が多い主要駅となっている。観光ポイントのようなものはないが、ひなびた町並みは情緒に満ち、駅前散策が楽しい。駅から歩いて5分ほどのところには市場もあり、新鮮な野菜が山積みになっている。ここは客家住民が多いことから、周囲には客家料理の屋台も並んで、食べ歩きが楽しい。

  


 竹東を出ると、油羅渓を長い鉄橋で通過する。九讃頭は列車交換が可能な駅。現在は典型的な田舎駅のたたずまいとなっているが、かつては貨物輸送で賑わっていた。広い構内が往時を偲ばせている。

 この先は油羅渓が作った河岸段丘の上を走る。山並みも迫ってきて、ちょっとした山岳路線の雰囲気だ。勾配もきつくなり、これまで軽快な走りを見せていた列車は、あえぐような走りとなる。

 


 途中の合興はかつて石灰石の積み出し駅だった。現在は操業を停止しているが、内湾線はもともと、この石灰石輸送と竹東で採掘されていた天然ガスの搬出を目的として、日本統治時代に敷設が決まった(全通は戦後の1951年)。戦後も長らく、合興からは貨物列車が運行されていた。

 内湾駅は終着駅らしい雰囲気を色濃く残している。竹東と同様、この町の住民の大半は客家人で占められ、客家料理のほか、すり鉢を用いた擂茶などを楽しむことができる。ぜひ訪れてみたいのは内湾戯院だ。ここはかつての映画館をレストランとして再利用している。店内では常時、古い映画を放映しており、訪れる人々を楽しませているほか、客家料理も味わえ、好評を博している。

 

 内湾からさらに先へ進むと尖石という町もある。ここはタイヤル族の人々が暮らす土地で、山中に集落が点在している。台北を早めに出発すれば、尖石まで足を延ばして戻ることも可能。週末、早起きして楽しむワンデイトリップに格好のコースだ。

内湾線沿線楽しみ方いろいろ

01擂茶にトライ
内湾や北埔では客家人の伝統茶芸として「擂茶」が楽しめる。これは中国古代の茶芸文化で、お茶請けや茶葉を大きな鉢ですりつぶしてから味わう。200元程度。

02客家料理
客家料理は醤油ベースの味付けで、日本人の口にぴったり合う。値段も安く、一品200元程度とリーズナブル。台北などの都市部では味わえない素朴な味わいだ。

03北埔
竹東からバスで15分ほどの北埔は山間の小集落。古い家並みが残り、散策が楽しい。客家料理を出す食堂や、擂茶の喫茶店も多い。観光地化されていない穴場だ。

04東方美人茶
北埔を中心とした一帯は、銘茶・東方美人の一大産地だ。発酵度が高く芳醇な味わいの茶葉は、世界的な評価を受けている。値段はやや高めだが、ぜひとも試してみたい。

05ローカルバスの旅
ローカルバスの旅も魅力。内湾や北埔などへは竹東でバスを乗り換える。竹東までは新竹駅の右手から約10分おきにバスが出ている。所要時間は40分、運賃42元。

06▲條
客家料理の定番庶民料理。米が原料で、つるっとした食感が印象的。薄目の味付けは、自分で調味料を加えて食べることが多いから。食堂や屋台で一度は味わいたい料理だ。 ▲は米へんに反

07新竹駅
新竹では、ぜひ駅舎を見物したい。台湾総督府鉄道部の嘱託技師・松崎萬長(つむなが)が建て、竣工は1913年3月。ドイツ風ネオバロック様式の壮麗な建物だ。

08北埔冷泉
北埔には冷泉もある。水温が約15度で美肌効果がある。露天風呂で水着が必要。北埔里のバス乗り場から車で15分、公共交通機関がないのが不便。冷泉は大きなプールのようになっている。


DATA
内湾線の定期列車は1日15往復。いずれもディーゼルカーだが、週末だけは台北方面から直通で客車列車の復興号が運行されている。新竹から内湾までは運賃41元。また、台北から竹東への直行バスは、台北高速バスターミナルから國光客運が便利。所要2時間。15〜20分間隔で61往復運行。運賃は115元。竹東発の最終は
21:30なので要注意。第2高速を経由する。ほかに飛狗バスも運行している。

※交通機関や宿泊先の情報は「な〜るほど台湾」に掲載時のものです。現在とは異なります。

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