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台湾歴史探訪
台湾総督府の自慢だった博物館

「な〜るほど・ザ・台湾」台北風邪まかせ 掲載

 新光摩天大楼の脇を228和平公園に向かって進んで行くと、前方に瀟洒な西洋建築が見えている。正面にドームを抱いた白亜の建物で、遠望しただけでもその威容が伝わってくる。ここがかつての台湾総督府博物館、現在の国立台湾博物館である。

 落成当初からその風格は特筆されていたという。建物の竣工は1915(大正4)年4月。約8年の歳月を経て完工した。この博物館は第4代台湾総督・児玉源太郎と民政長官・後藤新平の治績を記念して建てられた。古代ギリシャ様式を模したデザインが自慢の建物で、アジアでも指折りの壮麗さと評されていた。

 館内正面の吹き抜けホールには、児玉総督と後藤民政長官の銅像が向かい合うように立っていたという。この銅像二体は戦後の混乱期を経て、長らく博物館所有の収蔵庫に保存されていた。現在のところ、特別展示の時以外は眠りから覚めることはないが、戦中の金属供出や戦後の国民党政権時代による撤去からも免れ、今もなお生き延びているのは、やはり驚嘆に値する。

日本統治時代、ここには台湾に関する歴史文物や学術資料、そして、無数の標本が収蔵されていた。その総数は一万点に及び、台湾にゆかりのあるものなら、ほとんどすべてが対象になっていたという。現在の展示物はやや子供向きなものが多く、正直なところ、博物館としての魅力は薄いかもしれない。しかし、建物そのものに一見の価値があるのは誰もが認めるところで、特に、正面大ホールの天井に据え付けられたステンドグラスは必見だ。周囲はギリシャ風のオーダーが天井を支えており、壮麗な雰囲気を演出している。

 この建物は228和平公園の敷地内にあり、周囲には台湾で最初に走った蒸気機関車が静態保存されているほか、明石元二郎総督墓地に設けられていた鳥居などが移設保存されている。さらに、博物館の後方にある池には日本式の石灯籠と石橋が残る。また、博物館正面に置かれた牛の像は、かつて満州国皇帝から台湾神社に贈られたものと、見どころは少なくない。公園の散策と組み合わせて、歴史建築巡りはいかがだろうか。できれば、じっくりと時間をかけて巡りたいスポットである。

台北市中正区襄陽路二号(228和平公園内)
TEL:(02) 2382-2699
アクセス:MRT台大醫院駅から徒歩2分;台北車站から5分
営業時間:10:00〜17:00
休館日:月曜日
入場料:20元/
http://www.ntm.gov.tw/

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