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台湾第三の大都会・台中を歴史散歩

『な〜るほど・ザ・台湾』観光最新情報 掲載

台中は台北と高雄の中間に位置する都市。
島内の南北輸送の要で、各地へ向けて列車やバスが発着している。
2003年、人口が100万人を突破し、ますます勢いがついている。
発展著しい台中をのんびりと散策してみよう。

 

 台中の街の表玄関は鉄道駅だ。各道路はここから放射状にのびており、発達している。台中付近に集落が形成されたのは1710年ごろというのが定説だ。それまで長らくこの辺りは湿地が広がる荒野だった。疫病も多かったため、南部に比べると、開拓の歴史は浅い。しかし、日本統治時代に入ってからは順調な発展を遂げ、特に1908(明治41)年の縦貫鉄道開通によって、一気に表舞台へと立った。大正時代以降の台中は、商業都市として発展し、1920(大正9)年には市制も施行されている。


台中駅(修復工事前)

 この街の特色は、都市計画によって家並みが整備されたこと。もともとが湿地だったため、衛生管理や上下水道には細心の注意が払われ、道路には街路樹が植えられた。街路灯があったのも珍しい。商店街も大正時代から流行していたバロック風の看板建築が数多く見られた。市内には緑川と柳川を名乗る清流が流れ、両岸には樹木が植えられていた。こういった様子は絵はがきなどでも紹介され、台湾内はもちろん、日本本土へも広く知られていった。

 現在、台中の市街地となっているのは、駅から旧市街を抜けた先にある。ここは終戦後に開発されたエリアで、片側四車線の台中港路(中港路)を中心に町並みが広がっている。緑豊かな環境の中に高層住宅が林立し、整然としている。残念ながら、駅を中心とした旧市街は乱開発で雑然としてしまったが、新市街はそれを上回る発展ぶりだ。高層ビルと公園、そして潤い豊かな緑が融合する景観は美しく、台湾で最も理想的な住環境という評価も受けている。1999年9月の台湾中部大震災の際には、甚大な被害を被ったが、現在はそういった傷跡を感じさせないほどに復興している。

 台中は、彰化県や台中県、苗栗県、南投県といった台湾中部の中枢として、大きく賑わっている。人々は自家用車やオートバイで市内を移動するため、外国人旅行者が動き回るには、やや勝手が悪いというのが正直な印象だった。それでも、2003年から市内バスの整備が進められ、移動はとても便利になった。散策の目安としては、台中駅を起点に中正路や自由路を歩くと迷わない。旧市街の散策は徒歩で十分だが、新市街へはバスかタクシーを利用したい。台中駅構内には観光案内所があり、バスマップや日本語パンフレットなどが用意されている。

大正の名建築と絶讃された名駅舎

 台中駅は壮麗な雰囲気を漂わせた赤煉瓦建築。1917(大正6)年に竣工した建物で、中央に鐘塔を抱き、当時のターミナル建築のスタイルを踏襲している。壮麗な印象を抱かせる英国風のデザインだ。駅構内には日本統治時代の鉄道倉庫を利用した芸術展示スペースもオープンしている。最近、日本統治時代の姿に復元する工事が施され、話題となった(写真参照)


日本統治時代の絵葉書より


台中駅(修復工事後、現在の姿)

都市公園の白眉とされた台中公園

 ここは日本統治時代に開かれた公園。開園は1903(明治36)年10月28日と古い。園内には小山や園池もあり、風光明媚だ。特に、池亭は今も昔も台中のシンボルだ。園内にはラジオ放送台や日露戦争の勝利記念碑が残っている。池亭は木造で、珍しい「擬洋風建築」に分類されている。

台中神社の遺構を確認

 台中公園内にはかつての神社の遺構を見ることができる。横に並べられた大鳥居や旧参道沿いに並んだ石燈籠。また、神馬像や狛犬も残っている。本殿跡には孔子像が立っている。なお、神社は1940(昭和15)年に現在の忠烈祠がある場所に遷座している。

大きな布袋様が出迎えてくれる寶覺寺

 1927(昭和2)年に開かれた寺院。本堂は日本式の黒い瓦屋根に、西洋風の列柱、屋内装飾は中国風と、各様式が混在している。高さ30mという巨大な弥勒大仏があり、満面の笑みを浮かべている。なお、境内には日本人墓地があり、台湾で物故した1万4000柱の遺骨が収納されている。慰霊碑などもあり、日本人遺族も頻繁に訪れている。

台中ならではの個性派レストランで食事を

 台中には個性的なカフェレストランが多く集まっている。雙十路の台湾香蕉新樂園は体育館のような建物の中に古い町並みを再現している。また、文心路と成都路の交差点にある上海新樂園は1930年代の上海をコンセプトにした個性派レストラン。調度品はすべて上海から持ち込んだという徹底ぶりだ。このほかにも茶芸館や喫茶店など、立ち寄ってみたいスポットはいっぱいだ。カフェ好きには精明一街がおすすめ。

台中で歴史建築めぐり

台中駅の駅舎をはじめ、台中には数多くの歴史建築が残されている。台中市政府(市役所)の建物はかつての台中州庁舎。この一帯には、旧台中市役所、台中図書館、彰化銀行本店、旧明治尋常小学校などの大型建築のほか、木造平屋の日本家屋などが点在している。

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