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ひなびた風情と歴史の香り 安平

『な〜るほど・ザ・台湾』観光最新情報 2007年3月号掲載

安平は台南市の西部に位置する港町。その歴史はオランダ統治時代にまで遡る。落ち着いた風情が魅力的な歴史の町。台南駅からバスに揺られて30分の小さな旅を楽しもう。

台南駅から市内バスでアクセス

台南からのワンデイトリップを楽しもう。安平は歴史がぎっしり詰まった港町だ。旅は台南駅前のバス乗り場から始まる。台南駅の向かいには、ロータリーを挟んで南北にそれぞれ市内バスの乗り場がある。安平地区に向かうのは2番のバスで、北側の乗り場に発着している。

バスは台南市内を少し大回りしながら進んでいく。乗り降りは少なくないが、短距離の利用者が圧倒的に多い。この時期の台湾南部は上着がいらないくらいの陽気のことが多いが、バスは適度にエアコンが入っていて快適だ。やや雑然とした町並みを抜けると、左手に水路が見え始める。これは日本統治時代に設けられた台南運河で、安平の市街地はこの運河の河口に位置している。

オランダ人が造営した要塞と老街

安平は台湾で最初に成立した街と言われている。もちろん、平埔族の人々はそれよりも前から集落を形成していたが、17世紀にオランダ人がこの地に要塞を築き、台湾統治の拠点としたのがこの町の始まりだ。その後、鄭成功一族による統治時代、清国統治時代と常に重要な位置にあった。後には台南が都市として発展し、安平は廃れていったが、製塩業や漁業の盛んな町として、日本統治時代もある程度に賑わいを誇っていた。

まずは安平古堡へと向かおう。安平のメインストリートは安平路だが、バスはその北側を走るので、「郵局」というバス停で下りて南に進もう。古堡街と呼ばれる路地を進んでいくと、右手前方にこんもりとした丘が見える。ここが安平古堡だ。その歴史は1643年に遡り、当初はゼーランジャ城と呼ばれていた。現在、文物館には当時の様子を記した資料や鄭成功にまつわる遺品などが展示されている。

現在、敷地は公園となっている。鄭成功の銅像が誇らしげに立っており、威厳を示している。鄭成功は日本では国姓爺合戦で知られる人物だが、中国では忠君愛国の烈士、台湾では開拓王として扱われる。特に台湾南部ではとりわけ愛されている存在で、今も随所に鄭成功にちなんだ地名が残っている。また、ここには日本語教育を受けた世代のボランティアガイドもいるので、運が良ければ、詳しく往年の様子を教えてもらえる。

安平の脇には参拝客で賑わう天后宮がある。言うまでもなく、航海の女神とされる媽祖を祀っており、付近のランドマークとなっている。もし、散策で迷ってしまうことがあったら、ここを目印に考えよう。

天后宮前の広場には屋台がたくさん出ている。中でも安平古堡の入口の向かいにある「古堡?仔煎」はカキ入りオムレツこと「?仔煎」が美味しい店として知られている。ガイドブックに載ることは少ないが、安平巡りの定番とされる名物店である。

安平古堡を見学した後は、延平街と呼ばれる通りへ進もう。ここは戦災を受けることがなかったため、古きよき時代の香りが感じられる。表通りには土産物屋や雑貨屋が軒を連ねているが、路地裏に足を踏み入れると、昔ながらの家並みが残っている。老家屋ばかりでなく老木や戦前の井戸などもあり、人々の暮らしぶりが肌で感じられる。また、延平街から効忠街を入ったところには、海山館と呼ばれる古蹟が残っている。こういった建物は見学が可能なところも多いので、のんびりと散策を楽しみたい。 

数々の名物料理に舌鼓み

安平には味自慢の屋台も多い。まずは古堡街と安平路の交差点にある○捲(カキ捲き)の店。看板には「陳家○捲」と大きく記されている。このカキ捲きはサクッとした食感が独特で、中はジューシーなカキがぎっしりと詰まっている。ここはもともとカキの殻剥きで生計を立てていたという店で、今も店の向かいでは黙々と殻剥きの作業を続けるおばさんたちの姿がある。
○=虫偏に可

ここから台南方面に少し歩くと、「周氏蝦捲」という店がある。蝦捲はエビ入りの春巻きのことで、プリプリとしたエビが贅沢だ。また、この店の隣りには蝦餅(エビせんべい)の店があり、ここも名物店に名を連ねる老舗だ。さらに、デザートを楽しむなら、少し離れるが、「郵局」バス停から安北路を西へ700メートルほど進んだところにある「同記」という店に足を運んでみよう。ここの名物は豆花。豆腐を原料としたデザートで、甘すぎることもなく、素朴な美味しさを愛するファンは多い。町はずれであるにもかかわらず、毎日行列ができる人気店だ。

のんびりと穏やかな空気に包まれた安平の街。誰もが親しみを感じる素朴な雰囲気と懐かしさを覚える古い家並み。レンタルサイクルなどもあるので、ゆっくりと散策してみよう。

アクセス

台南駅前北乗り場から市内バス2番に乗車。20-30分おきに便がある。所要約30分で運賃は18元。安平古堡に近いのは安北路と古堡街との交差点にある「郵局」というバス停。帰路は安平路と古堡街の交差点にバス停がある(休日は「郵局」から乗車)。なお、タクシーを利用する場合は台南駅から所要15分で 150元程度。人数がいればタクシーが便利だ。

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