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第2回:文芸サロンへと変わった公邸―市長官邸藝文沙龍

The Daily NNA【台湾版】 2007.7.20掲載

竣工は1935(昭和10)年。建坪だけでも152 坪となっており、かなりの広さであった。現在は芸術サロンとして、各種イベントのほか、展示会や講演会が催されている。場所は國立台湾大學法律學院・社會科學院の向かい

台北市の人口は約260万。どこへ行っても「喧噪」という言葉が当てはまる大都会である。そんな台北市の中心部に、鬱蒼とした緑に覆われた木造家屋がある。ここは私もインタビューや聞き取り調査でよく利用させてもらっており、少々思い入れのある建築物件である。

この建物の前身は旧台北市長公邸である。戦前の高級官舎によく見られた和洋折衷の造りで、敷地面積は800 坪に及んでいる。外観は和風建築の趣を保っており、今や数少なくなった木造建築として、台北市が指定する古蹟となっている。畳敷きの部屋こそあるものの、館内は洋風の間取り。これらの部屋は多目的スペースとなっており、講演や会議などに利用されている。また、ベランダも設けられており、こちらは併設されているカフェのテラス席となっている。

見逃したくないのが敷地内に植えられた亜熱帯の植物たちである。日本統治時代、台湾の庭園には本土では見られない南国の植物が好んで植えられていた。これは要人が視察にやってきた際、庭先を散歩するだけで台湾の風情を味わえるようにとの配慮だったという。老木となったこれらの植物は青空を埋め尽くすほどに繁茂しており、亜熱帯性植物の旺盛な生命力を感じさせている。 

2000 年11 月、台北市はここを芸術サロンとして開放した。現在、館内には詩集や画集、文芸作品などの販売コーナーがある。散策の途中に立ち寄ってみたい休憩スポットである。(市長官邸藝文沙龍・中正区徐州路46 号 02-2396-9398)

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